
FP1級受験のきっかけ
──最初にFP1級を取得しようと思ったきっかけについて教えてください。
FPを学び始めたきっかけは、身内の相続を自力で行った経験です。私は40年以上、技術系の仕事に従事し、資産・相続の実務とはほぼ無縁のまま70歳近くまで過ごしてきました。しかし、義叔母が亡くなり、マンションの処分や相続手続きを行うことになりました。
税理士に依頼しようと探しましたが、相続は手間がかかる割に報酬が見合わないというのが世間の相場らしく、近隣の税理士に打診しましたが断られました。引き受けてもらえても数十万円の費用がかかるとのこと。ならば自分でやってみようと決意しました。
実際にやってみると、
- 死亡届の提出
- 戸籍の収集と相続人の確定
- 遺産分割協議書の作成
- 銀行での預金払戻し
- マンション売却
- 相続税申告書の作成
など、膨大な手続きがあり、金融機関の画一的な対応にも苦労しました。特に「被相続人が契約した支店でしか手続きできない」と言われ、相続人が高齢で遠方に住んでいる状況では非常に負担が大きかったです。
この経験から、身近な人の相続を支えられる知識を持ちたいと強く感じ、FP資格取得を決意しました。3級・2級は順調に進み、せっかくなら1級まで挑戦しようと考えました。
学習スケジュールと活用教材
──次に学習方法などについてお伺いします。まず2026年6月試験までのおおまかな学習スケジュールを教えてください。
前回(2025年2月)の受験は散々な結果で、面接官の質問に即答できず戸惑いが多く残りました。その反省を踏まえ、今回は2月から計画的に準備を開始しました。
2〜3月:基礎固めと情報収集
FPキャンプ実技対策講座を受講
前回の受験資料を総点検
note記事や相続・事業承継の実務書を読み、背景知識を補強
田畑真吾氏の過去問解説(2022〜2025年度)を発見し、体系的に読み込む
3〜4月:想定問答の抽出
FPキャンプのQ&Aをベースに100問を抽出
AI(Gemini)で回答を40字に要約
「即答が必要な問」「自分の言葉で説明する問」「自然記憶に任せる問」に分類し、学習時間を配分
直前1か月:瞬発力の強化
自作の単語帳アプリ「WordHolic!」を使い、音声で繰り返し回答
散歩中もイヤホンでブツブツ練習し、口と耳で覚える
直前2週間:本番形式の練習
直近2年分の過去問をA3で印刷
「準備15分」の感覚を再現しながら練習
時間配分と回答の流れを体に染み込ませる
ほぼ計画通り進められました。
──学習に利用した主な教材を教えてください。
利用した教材は幅広いですが、特に役立ったものは以下です。
- FPキャンプ FP1級実技対策講座(最重要)
- 田畑真吾氏のFP1級実技試験過去問題集(2022〜2025年度)
- FP1技能士1級実技対策精選問題集(TAC出版)
- きんざい出版 FP技能検定テキスト(2021年版、第6版)
- note記事(相続・事業承継の実務系)
- 「事業承継が0からわかる本」(半田 道著)
- 「相続の失敗事例55」(辻・本郷税理士法人)
学習の工夫と面接試験対策
「知識量より瞬発力」を重視して、即答が必要な100問を繰り返し音声反復
──学習を進めるにあたり、自分なりに工夫した点はありますか。
FP1級実技は「知識量より瞬発力」が重要だと感じたため、まず覚える量を絞ることを意識しました。FPキャンプのQ&Aを基に重要な質問を100問に絞り、AIで40字に要約して覚えやすい形に整理しました。また、面接形式に慣れるため、WordHolic!で音声反復し、散歩中もイヤホンで繰り返すことで”耳と口で覚える”学習を徹底しました。さらに、学習内容を「即答が必要なもの(この100問)」「説明できればよいもの(100問からもれて気になるもの)」「自然記憶に任せるもの」に分類し、深追いを避けて効率的に進めたことが合格につながったと感じています。
──本番の面接形式の練習をどのようにされましたか。
前回はオンライン模擬面接を数回利用しましたが、台本読みのようで私には合いませんでした。今回は模擬面接は一切行わず、WordHolic!による反復練習に集中しました。
──対面やオンラインでの面接試験の練習は実施しましたか。
今回の試験に関しては先の理由で必要性を感じず、面接の練習という意味では全く実施していません。
──学習を進めるにあたり、一番大変だったことは何ですか。また、その困難をどのように乗り越えましたか。
合格率が高い試験で2度目の挑戦となり、精神的な負担が大きかったことです。前回の反省から弱点を分析し、瞬発力を鍛える学習法を確立したことで克服できました。
──学習を進めるにあたり、犠牲にしたことはありますか。
リタイア後で時間に余裕があり、学習方法を試行錯誤し、楽しみながら学習できました。試験直前の1週間は飲み会などの予定を控えました。
4か月間の学習スケジュールを立て、段階ごとにやるべきことを明確化
──受験前の学習はスケジュール通り進めることができましたか?試験前の学習の進捗状況について具体的に教えてください。
2月から学習を開始し、全体としてほぼ計画通り進めることができました。特に今回は「段階ごとにやるべきことを明確化する」ことで迷いなく進められました。具体的には次のような流れです。
2〜3月:基礎固めと情報収集
FPキャンプ実技講座の受講、前回の資料の総点検、直近1年分の過去問の見直しを行いました。田畑真吾氏の過去問解説を見つけたことで、面接官の質問傾向を体系的に把握でき、想定問答の抽出が効率化しました。
3〜4月:想定問答100問の作成
FPキャンプのQ&Aを基に重要度の高い質問を100問に絞り込み、AIで40字に要約。覚えやすい形に圧縮したことで、後の反復練習がスムーズになりました。
直前1か月:瞬発力の強化
WordHolic!を使い、散歩中もイヤホンで回答を繰り返し、耳と口で覚える条件反射化を徹底しました。
直前2週間:本番形式の練習
直近2年分の過去問をA3で印刷し、「準備15分」を再現しながら練習。時間配分と回答の流れを体に染み込ませました。
これらを計画通り進められたことで、試験当日は落ち着いて臨むことができました。
──受験前の自信のほどはいかがでしたか?
自信というより、やれることはやったという気持ちで臨みました。
FP1級実技試験の雰囲気や難易度、内容
──次に試験についてお伺いします。まず、設例に目を通した時点での感想を教えてください。
- Part I(相続・事業承継分野)
学習した設例に類似しており面接官の質問もある程度予想できました。 - Part II(不動産分野)
一見すると難しそうでしたが、じっくり読み込んだら何とかなりそうだと思いました。
──面接の雰囲気はいかがでしたか?
- Part I(相続・事業承継分野)
威圧的な圧迫面接かつ挑発的な面接でした。 - Part II(不動産分野)
終始和やかな雰囲気で進みました。
──質問の難易度はいかがでしたか。
- Part I(相続・事業承継分野)
学習していない論点もありましたが、大部分は回答できました。 - Part II(不動産分野)
Part Iと同じく、学習していない論点もありましたが、大部分は回答できました。
──面接ではどのような質問が出ましたか。覚えている範囲で教えてください。
Part I(相続・事業承継分野)
- 設例の顧客の相談内容及び問題点を挙げてください。
- 節税の対策としてどのように対処しますか?
- 法人化がなぜ節税になるのですか?
- 二世帯住宅を建てるにあたって注意すべきことは?
- なぜ共同名義か?すべてを親が建てた場合はどうなりますか?
- 外国にある不動産の相続税は、日本と米国どちらから課税されますか?
- 米国に路線価はありますか?
- 教育資金の贈与はどのように行いますか?
- FPの職業倫理について。
- その中で設例ではどれを重視しますか?
Part II(不動産分野)
- Aさんから直接確認することは?
- FPとして自身で調べて確認することは?
- 2024年に施行された建物の評価に関する税制はどういうものですか?
- その内容は?
- 権利金と前払い地代はどういうものですか?
- 前払い地代はどのように課税されますか?
- 住宅資金の贈与について、どういう方法がありますか?
- 両方使えますか?
- 教育資金の贈与について、どういう方法がありますか?
- 他に使えるものはありますか?
- 本設問に関与する専門家をあげてください。
反省点と得点結果の振り返り
面接官の挑発に乗らず、冷静な対応を心がける
──面接の受け応えで気を付けたポイントや反省点について教えてください。
Part Iで、私が正答したと思える回答に、試験官の否定がありました。故意なのか真意なのか、揺さぶりなのか分かりかねたのですが、試験官の明らかな挑発に乗らず、冷静に対応するように気を付けました。Part IIでは、丁寧にゆっくり回答することを心がけました。
──回答が分からない質問に対してどのような受け応えをしましたか?
誤答が2回ありましたが、試験官が即座に正解を返してくれたため沈黙はありませんでした。不確実でも言葉にすることで会話が途切れず、試験官も必要な質問を進めやすいと感じました。
──実際の点数はいかがでしたか?
200点満点中132点で、内訳は以下の通りです。
A ) 顧客の問題点の把握(40点満点): 27点
B ) 問題解決策の検討分析(60点満点):41点
C ) 顧客の側に立った対応(60点満点):37点
D )FP倫理と法令順守(40点満点): 27点
高い効果が見込める学習教材に絞り、即答が必要な質問を繰り返し音声反復。当日は面接官とのスムーズなコミュニケーションを意識することで合格を勝ち取る
──26年6月試験で合格できた要因を3つあげてください。
- 即答が必要な質問を抽出して、耳と口で覚える条件反射化を徹底
初回受験では、面接官の質問に即答できず沈黙が生まれ、圧迫気味の面接官にペースを乱されるなど、瞬発力不足が致命的でした。そこで今回は、FPキャンプのQ&Aを基に「即答が必要な質問」を100問抽出し、AIで40字に要約して覚えやすい形に圧縮しました。さらにWordHolic!を使い、散歩中もイヤホンで繰り返し音声練習を行い、耳と口で覚える条件反射化を徹底しました。その結果、どんな質問でもまず口が動く状態になり、面接官のペースに飲まれず回答できました。
- 限られた時間を最も高い効果が見込める学習教材に集中
初回は教材を大量に集めすぎて、情報が散らかり、実技試験に直結しない知識ばかり増えてしまいました。今回は「FPキャンプ教材」と「田畑真吾氏の過去問集(2022〜2025年度)」の2つを最重要教材とし、その他の書籍は背景理解の補助に限定しました。特に田畑氏の過去問は、面接官の質問の癖や回答の方向性がつかみやすく、実技試験に直結する内容でした。学習範囲を絞ったことで迷いが消え、限られた時間を最も効果の高い部分に集中できました。
- 「深追いしない・議論しない」を徹底してスムーズなコミュニケーションを意識
初回は疑問が出るたびに深掘りし、面接でも自分の知識になっていなくて即答できない場面が多くありました。今回は「深追いしない・議論しない」を徹底しました。例えば、外国不動産の相続税の適用国について「双方」と答えようとした際、面接官が即座に「日本だよ」と断定しましたが、反論せず次の質問に進みました。この姿勢により、試験官が短時間で必要な質問を消化でき、会話が途切れずスムーズに進行しました。結果として、PART IIは時間を余して終了できました。
面接官の質問に即答できる準備と深追いしない姿勢が大切
──今後実技試験を受けるFPキャンプ受講生に面接の受け応えに対するワンポイントアドバイスをお願いします。
面接試験で大切なのは、知識量よりも「即答できる準備」をしておくことだと感じました。私は初回受験で考え込みすぎて沈黙が生まれ、面接官のペースに飲まれてしまいました。今回は、重要な質問を100問に絞り、回答を40字に要約してWordHolic!で繰り返し練習したことで、どんな質問でもまず口が動く状態を作れました。
また、面接では深追いしないことが重要です。面接官は限られた時間で必要な質問を消化する必要があるため、議論せず会話を止めない姿勢が結果的に評価につながります。
即答の準備と深追いしない姿勢、この2つが面接試験の要点だと感じています。
FPキャンプについて
──次にFPキャンプについて伺います。FPキャンプで特に役立ったコンテンツとその理由について教えてください。
「ガイダンス講義」「インプット編:テーマ解説講義 Part I(相続・事業承継)」「インプット編:テーマ解説講義 Part II(不動産)」「アウトプット編:事前準備編」「アウトプット編:コミュニケーション編」「直前まとめシート」「僧侶FPとやまの今日の一問チャレンジ(メルマガ)」です。
すべてのコンテンツを一通り3周視聴しました。特にアウトプットの教材についてはFPキャンプに絞って他の教材には手を出さず、その代わり、アウトプット編に収録されている問題でも空で覚えるもの(100問に含まれるもの)と、それ以外のものに分類し取り組みました(WordHolic!を活用しました)。このプロセスを通して、切り捨てることも大事だと気づかされました。
──コストパフォーマンスについてはいかがですか。
1級学科コースの受講者向けの割引制度を活用して受講しましたので、料金面では満足しています。
アウトプット教材はFPキャンプに絞り集中的に練習を重ねる
──FPキャンプの総合的な満足度を教えてください。
満足しています。繰り返しになりますが、アウトプットの教材についてはFPキャンプに絞って他の教材には手を出さず、FPキャンプ一本で集中的に練習を重ねました。
FP1級の活かし方
FPと行政書士のダブルライセンスで、相続手続きまで支援したい
──次に今後の展望についてお伺いします。FP1級の資格を今後の仕事や生活でどのように生かしていきたいですか。
FP1級で得た知識は、身近な人の相続やお金の悩みに寄り添うために役立てたいと考えています。義叔母の相続で苦労した経験から、同じように困っている人の初期相談に応えられる存在になりたいと思っています。また、FPだけでは対応範囲が限られるため、今年は行政書士資格の取得を目標にし、相続手続きまで一貫して支援できる体制を整える予定です。リタイア後の新しい挑戦として、学びを実生活で生かしていきたいと考えています。
学び直しは何歳からでも可能という確信を得られたことが最大の収穫
──FP1級試験の勉強を振り返って、数々の犠牲を払いながら学習を継続して良かったと感じているのはどのような点になりますか。
FP1級実技試験の学習を継続して良かったと感じる点は、合格そのもの以上に「70歳を過ぎても新しい分野を体系的に学び、成果を出せた」という自信を得られたことです。技術系の仕事を長く続けてきた私にとって、金融・相続の世界は未知の領域でしたが、毎日WordHolic!で音声反復し、散歩中もイヤホンでブツブツ練習するなど、地道な積み重ねが確実に力になりました。また、身近な人から相続の相談を受けた際、学んだ知識を使って的確に回答できたことは大きな喜びでした。受験料や交通費などの負担はありましたが、それ以上に「学び直しは何歳からでも可能だ」という確信を得られたことが、今回の挑戦で得た最大の収穫だと感じています。
受験生へのメッセージ
──最後に、FPキャンプで学ぶ受講生にメッセージをお願いします。
FP1級実技試験は、正しい教材を選び、必要な部分に集中すれば必ず合格を目指せる試験です。私自身、初回は教材を広げすぎて迷走しましたが、FPキャンプの教材と過去問数年分に絞ったことで、学習の方向性が一気に明確になりました。FPキャンプは満点を取るための教材ではなく、合格に必要な60%を確実に取るための教材です。
また、学習法は人それぞれですが、続けられる方法を見つけることが何より大切です。今回の試験ではWordHolic!での音声反復やAIによる要約を取り入れ、自分に合った形で瞬発力を鍛えました。焦らず、必要な部分を繰り返すことが最短ルートです。
FPキャンプ+過去問の反復が最短ルートだと思います。
皆さんの努力は必ず実を結びます。応援しています。


