税額控除の基本（タックスプランニング）完全講義シリーズ

「税額控除って“所得控除”とどこが違うの？」「種類が多くて、試験対策でも整理しづらい…」と感じている方は多いのではないでしょうか。

税額控除とは、その名の通り “計算された税額から直接差し引く” ことができる制度で、節税効果が大きいのが特徴です。

しかし、控除の種類ごとに要件や控除額、限度額の仕組みが異なるため、理解が曖昧なままだと混乱しやすい分野です。

特にFP試験では、代表的な税額控除（住宅ローン控除、配当控除、外国税額控除など）の仕組みや計算の流れが頻出ポイントとなります。

この記事では、税額控除の基本的な考え方から、各控除の特徴、試験で問われやすい計算と数字の把握方法までを整理しながらわかりやすく解説していきます。

税額控除の基本

税額控除は「税金そのものを減らす仕組み」

本記事では、所得税の重要論点である 税額控除 について解説していきます。

税額控除は、確定申告の一連の流れの中でも終盤に登場する制度で、最終的に納める税金を大きく左右する“山場”の一つです。

まず、税額控除とは、課税総所得金額に税率を乗じて算出された所得税額から一定の金額を控除する 制度のこと です。

ここで、所得税額の算出の流れを振り返っておきましょう。

上記の図からもわかるように、

・総所得金額から、所得控除を差し引いて「課税所得金額」を求める
・その課税所得金額に税率をかけて「所得税額」を算出する

という流れでしたね。

所得税の全体像については、本blogサイトの別記事で詳しく解説していますので、そちらも併せてチェックしてください。
タックスプランニング分野「所得税の全体像」

ここまでで税額は一旦確定しますが、税額控除を使うことで その税金をさらに減らすことができる わけです。

所得控除が「所得を減らす」のに対し、税額控除は「税金そのものを減らす」ため、非常に強力な仕組みと言えます。

試験で最重要なのは住宅ローン控除

税額控除はいくつか種類がありますが、FP試験で最も頻出なのは 住宅借入金等特別控除（住宅ローン控除） です。

もちろん、配当控除や外国税額控除など他の控除もありますが、FP2級の学科試験では 住宅ローン控除が圧倒的メイン といって差し支えありません。

そのため、試験対策としては、まず住宅ローン控除の仕組みをしっかり押さえることで、税額控除の大きな得点源を確保できます。

所得控除との違い

「所得控除」と「税額控除」は何が違うのか？

ここで改めて、所得控除と税額控除の違いを整理しておきましょう。

・所得控除：課税所得を減らす（＝税額を間接的に減らす）
・税額控除：算出された税額を直接減らす（＝効果が大きい）

例えば、所得控除は収入から「６５万円をなかったことにする」イメージでしたね。

一方、税額控除は「出た税金から〇万円を直接引いて良い」という仕組みで、インパクトの大きさが全く違います。

税額控除が強力と言われる理由は、まさにこの「払う税金額そのものを減らせる点」にあります。

税額控除の位置づけ

最終的な納付税額を決める重要ステップ

最後に、所得税の計算の流れの中の税額控除の立ち位置を確認しておきましょう。

税額控除は、税金計算の最後の最後で使われます。

【大まかな所得税算出の流れ】
① 課税所得金額を求める
② 税率をかけて所得税額を算出
③ この税額から税額控除を引く → 実際に納める税額が決まる

この③の部分が税額控除の役割です。

つまり、税額控除は最終的な納税額に直結する、とても重要な工程だということがわかりますね。

まとめ

本記事では「税額控除の基本」について学んできました。

まずは、税額控除の概要を把握し、特に住宅ローン控除について学習を深めることが試験対策として非常に重要になってきます。

過去のFP試験では、これらのポイントが問われる問題が繰り返し出題されていますので、しっかりと復習しておきましょう！