
24歳で独学により1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。2021年に「ほんださん / 東大式FPチャンネル」を開設し、35万人以上の登録者を獲得。
2023年に株式会社スクエアワークスを設立し、代表取締役としてサブスク型オンラインFP講座「FPキャンプ」を開始。FPキャンプはFP業界で高い評価を受け、2025年9月のFP1級試験では48%を超える受験生が利用。金融教育の普及に注力し、社会保険労務士や宅地建物取引士など多数の資格試験に合格している。
50代になり、老後の生活を意識しはじめて資産運用に興味を持つ人は多くいます。
しかし、「これから投資をはじめるのは遅いのだろうか」と不安を感じてしまうでしょう。
50代から資産運用をはじめるのは遅くはなく、人生100年時代といわれる現代だからこそ、十分な運用期間を確保できます。
本記事では、50代から資産運用をはじめるべき理由や失敗しないためのルールを詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、安心して老後を迎えるための準備をはじめましょう。

50代から資産運用をはじめるのは遅い?必要な理由と実態
50代からでも資産運用をはじめるべき理由や、50代のリアルな実態を確認していきましょう。
理由①:老後資金の不足に備える
50代が資産運用をはじめるべき理由は、老後資金の不足に備えるためです。
公的年金だけでゆとりある老後生活を送るのは、現代の日本では難しい傾向にあります。
2026年度の基礎年金の満額は月額7万608円で、厚生年金の夫婦2人分の標準的な年金額(基礎年金を含む)は23万7,279円です。
参照:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(2026年4月時点)
一方で、生命保険文化センターが公開している老後の最低日常生活費(2人分)は、月額23万9,000円(平均)とされています。
さらに、ゆとりのある生活を夫婦で送るためには、月額39万1,000円(平均)でした。
参照:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|リスクに備えるための生活設計」(2026年4月時点)
例えば、退職後の生活費が年金収入を上回る場合、差額を自身の貯蓄から取り崩さなければなりません。
資産運用で少しずつお金を増やしておけば、老後の生活資金に対する不安を軽減できます。
定年退職を迎える前の50代は、収入が安定しているため、老後資金を作る最後のチャンスともいえるでしょう。
理由②:インフレによる現金の価値目減りを防ぐ
預貯金だけで資産を保有し続けると、インフレ(インフレーション)が原因で価値が目減りするリスクがあります。
インフレとは、モノやサービスの値段が上がり、相対的にお金の価値が下がる状態です。
例えば、100円で買えていたおにぎりが120円に値上がりした場合、同じ100円では購入できません。
現在の日本では物価上昇が続いており、銀行にお金を預けているだけでは資産は減っていきます。
物価上昇率を上回る利回りで資産を運用し、お金の価値を守る必要があります。
資産運用は、インフレから自身の資産を守るために効果的な手段です。
インフレの詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
▶インフレとは?対策は何をすればいい?FP資格の知識で資産を守る方法を解説
【リアル】50代の資産運用の実態
「他の50代はどのくらい資産を持っているのだろう」と気になる人も多いでしょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、50代の金融資産のリアルな実態が見えてきます。
同調査の総世帯データでは、50代の金融資産保有額(非保有世帯を含む)の平均値は1,147万円です。
しかし、データを順番に並べた真ん中の数字である「中央値」を見ると、200万円にとどまっています。
平均値と中央値の大きな差は、一部の富裕層が平均を大きく押し上げているためです。
例えば、3名の調査対象者がおり、1人が1億円、2人が100万円を保有していると仮定すると、数値は以下の通りです。
- 平均値:3,400万円
- 中央値:100万円
平均額を自身の家計と比較するのではなく、より実態に近い中央値から考えるとよいでしょう。
注目すべきは、50代の32.1%が「金融資産を保有していない(貯金ゼロなど)」と回答している点です。
50代の多くが十分な資産形成に不安を抱えており、今からはじめても遅れをとっているわけではありません。
自分の状況に合わせた方法で運用すれば、「少額でも投資をはじめてよかった」と思える結果を得られるでしょう。
50代の資産運用で失敗しないためのルール
50代の資産運用は、増やす以上に「減らさない投資」が重要なため、リスクを回避するためのルールを紹介します。
①退職金を一括でハイリスク商品に投資しない
退職金のようなまとまったお金を、一括でハイリスクな金融商品に投資するのは危険です。
50代は、投資で大きな損失を出した場合に、労働収入で取り返すための時間が限られています。
例えば、退職金2,000万円を一度に株式へ投資し、直後に暴落が起きた場合、老後の生活基盤が崩れてしまいます。
大きな資金を運用する場合は、購入時期を複数回に分け、時間のリスクを分散させましょう。
後ほど紹介する「長期・積立・分散」のルールにも該当するので、ぜひ参考にしてください。
退職金は老後を支える基盤のため、慎重に使わなければなりません。
まずは少額から投資をはじめ、運用に慣れてから徐々に金額を増やすのが理想的です。
②金融機関のおすすめ商品を鵜呑みにしない
銀行や証券会社の窓口で勧められる金融商品を、そのまま購入するのは避けましょう。
金融機関の担当者が提案する商品は、顧客にとって最適なものとは断定できません。
例えば、販売手数料や信託報酬が高い商品は、金融機関の利益になりやすい傾向があります。
手数料が高い商品は運用の利回りを圧迫し、最終的な手元に残るお金を減らしてしまいます。
取り扱い商品の中から顧客にとってよい商品を勧めてくれますが、自分に合う商品が他にある可能性を頭に入れておきましょう。
おすすめされた商品を鵜呑みにせず、自身で商品の内容や手数料を確認するのが大切です。
金融機関はあくまで相談窓口の一つとして利用し、最終的な判断は自身で考える必要があります。
【おすすめの記事】
老後資金の相談はどこがいい?銀行窓口へ行く前に知るべき知識と対策
③自身の資産状況と投資目的を明確にする
資産運用をはじめる前に、現在の資産と投資目的を明確にしましょう。
目的が曖昧なまま投資をはじめてしまうと、一時的な相場の変動で慌ててしまいます。
「いつまでに・何のために・いくら必要か」が分かれば、毎月の積立額を逆算可能です。
例えば、「10年後の老後資金として500万円準備したい」と具体的な目標を立てます。
目標が決まれば、毎月いくら積み立てるべきか、どの程度のリスクを取れるかが逆算できます。
また、現在保有している預貯金やローン残高などの資産状況もしっかりと把握しましょう。
全体像を理解しているからこそ、無理のない範囲で資産運用に取り組めます。
【おすすめの記事】
金融資産とは?どこまで含まれる?種類や年代別の平均額・中央値も紹介
④長期・積立・分散投資を守り続ける
損失につなげにくくするには、投資の基本ルールの「長期・積立・分散」を守り続けられるかが重要です。
長期・積立・分散を組み合わせれば、リスクを抑えながら安定したリターンを目指せます。
長期間にわたって投資を続けるからこそ、利益がさらに利益を生む複利効果を活かせる点は大きなメリットです。
また、毎月一定額を積み立てれば、価格変動のリスクを分散させられ、平均価格を下げられる「ドルコスト平均法」の恩恵も受けられます。
さらに、投資先を国内や海外、株式や債券などに分散させ、一つの市場が暴落したときの影響を軽減できます。
詳細は以下の記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。
▶初心者こそ「長期・積立・分散」を押さえよう!資産運用は知識でリスク分散
50代に最適なポートフォリオと現金比率の考え方
資産運用では、どの資産にどれくらいの割合で投資するか(ポートフォリオ)は重要なポイントです。
①「生活防衛資金」を現金で確保する
投資をはじめる前に、まずは万が一の事態に備える「生活防衛資金」を現金で確保しましょう。
病気やケガ、突然の失業などで収入が途絶えた場合、当面の生活費をまかなうためのお金です。
例えば、会社員であれば生活費の3か月から6か月分、自営業であれば1年分程度が目安だといわれています。
ただし、子どもが独立していない場合や、配偶者が専業主婦(主夫)の場合は数か月分プラスしてもよいでしょう。
自身の状況に合わせて、柔軟に変更するのがおすすめです。
生活防衛資金を貯めずに投資をはじめると、急にお金が必要になった際に、損失が出ている状態でも売却しなければなりません。
生活防衛資金は、すぐに引き出せる普通預金などで安全に保管して、万が一のときも柔軟に対応できるようにしてください。
現金の備えがあるからこそ、心に余裕を持って資産運用に取り組めます。
【おすすめの記事】
生活防衛資金は必要?目安金額や貯め方、投資のタイミングを解説
②リスク許容度に合わせた資産の割合を決める
投資に回すお金は、自身のリスク許容度に合わせて配分を決める必要があります。
リスク許容度とは、どれほどの損失に耐えられるかを表す度合いです。
例えば、日々の価格変動で眠れなくなるような人は、リスク許容度が低いといえます。
50代は運用期間が短くなりつつあるため、20代や30代に比べてリスク許容度は低くなる傾向があります。
大きな利益を狙うのではなく、資産を減らさない守りの運用を意識して、安全性を重視した運用を守るとよいでしょう。
自身の性格や経済状況を客観的に見つめ直し、無理のない割合を設定してください。
【おすすめの記事】
リスク許容度とは?資産運用で失敗しないために知るべき目安と決め方
③年齢から考える株式と債券の理想的なバランス
具体的なポートフォリオを考える際、年齢を目安に株式と債券のバランスを決める方法があります。
一般的に、「100-年齢」の割合を株式に投資し、残りをリスクの低い債券などに回すのが目安です。
例えば、55歳の人であれば、100から55を引いた45%を株式とし、残りの55%は債券や現金を選びます。
株式は高いリターンが期待できる反面リスクが大きく、債券はリターンが低いものの価格変動が比較的安定しています。
年齢が上がるにつれて債券の割合を増やし、徐々にリスクを抑えた運用へと移行しましょう。
あくまで目安のため、自身に合ったバランスを見つけるための基準として役立ちます。
「自分は価格変動で一喜一憂してしまう」と分かっていれば、「100-年齢」よりも多い割合を債券にするのも一つです。
個人の状況や性格など、さまざまな条件に合わせて変更して、オリジナルのポートフォリオを作成してください。
50代の初心者におすすめの資産運用方法と制度
50代から資産運用をはじめる場合、税制面でお得な国の制度を活用しましょう。
新NISAを活用した非課税での積立投資
資産運用をはじめるなら、非課税制度である「新NISA」の活用を検討するのがおすすめです。
通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、新NISA口座での利益は無期限かつ非課税で運用できます。
例えば、10万円の利益が出た場合、通常は約2万円の税金が引かれますが、新NISAなら10万円をそのまま受け取れます。
よりゆとりある老後生活を送るには、税金がかからないNISAを利用し、効率的に資産を増やしましょう。
【おすすめの記事】
非課税になるNISAとは?安全な資産運用は「FP資格」にあり!
iDeCo(個人型確定拠出年金)での老後資金づくり
老後資金の準備のための有名な制度は、iDeCoです。
iDeCoは、掛け金が全額所得控除の対象となり、投資しながら所得税や住民税を軽減できます。
例えば、毎月2万円を積み立てた場合、年間24万円分の所得控除を受けられ、大きな節税効果が得られます。
運用益が非課税になる点や、受け取り時にも税制優遇がある点も大きなメリットです。
原則として60歳まで資金を引き出せない制限があるため、生活に支障が出ない範囲で運用しましょう。
50代で収入が安定し、税負担が重い人にとって、相性のよい制度といえます。
【おすすめの記事】
【初心者向け】iDeCoをはじめる前に知っておきたいメリット・デメリットと活用法
リスクを抑えた投資信託の選び方
投資信託を選ぶ際は、コストの低さと投資している商品を基準にしましょう。
投資信託には、プロが運用方針を決める「アクティブファンド」と、市場の平均に連動する「インデックスファンド」があります。
初心者におすすめなのは、手数料の信託報酬が低いインデックスファンドです。
アクティブファンドは高いリターンを狙えますが、手数料が高く、長期的に見ればインデックスファンドを下回る可能性も否定できません。
また、含まれている商品に目を向けるのも重要ポイントです。
例えば、リスク許容度が低い人であれば、株式100%の投資信託が向いていない可能性があります。
株式だけでなく、債券や不動産などの商品で運用するバランス型ファンドのほうが安心できるかもしれません。
金融機関の窓口で勧められる高額な手数料の商品を避け、ネット証券で低コストなファンドを探すのがおすすめです。
資産運用を成功させる鍵はお金の知識!資産を守って増やそう
正しいお金の知識を持つからこそ、大切な資産を守りながら効率的に増やせます。
理由①:知識不足が招く予期せぬ損失リスク
お金に関する知識が不足していると、思わぬところで大きな損失を被るリスクがあります。
相場が下落した際にパニックになり、安い価格で商品を投げ売りしてしまうなどが挙げられるでしょう。
例えば、仕組みを理解していない複雑な金融商品を購入し、後から多額の手数料に気づくケースも多くあります。
また、世の中には「絶対に儲かる」といい、高い利益を約束するような投資詐欺も存在するため、注意が必要です。
お金の知識と判断力を指す「金融リテラシー」を高め、リスクから自身を守り、資産を増やしていくのがおすすめです。
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理由②:正しい判断にはFP学習が役立つ
お金の知識を学ぶには、ファイナンシャルプランナー(FP)の学習が役立ちます。
FPの学習範囲は、年金・税金・投資・不動産・相続など、生きていくうえで必要なお金の知識を幅広く学習可能です。
例えば、資産運用を考えるときには、税金の仕組みや社会保険制度の理解が欠かせません。
FPの知識があれば、金融商品との相性を自分で判断し、より効果的な制度を選択できるようになります。
資格を取得しなくても、勉強するだけで家計管理や資産形成のスキルが上がり、自分や家族などの大切な人たちを守れるでしょう。
さらに、セカンドキャリアにも役立つ資格でもあるため、経済的にも精神的にも豊かな生活を送りたい人にも向いています。
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