
FP1級受験のきっかけ
──最初にFP1級を取得しようと思ったきっかけについて教えてください。
50歳を過ぎ、会社人生の終盤を意識するようになったとき、改めて自分を振り返ると「会社の外でも通用する専門性がない」と痛感しました。また、仕事柄20年以上前にAFP資格を取得していたものの、社会保障制度などの仕組みが大きく変化している中で、それを十分にキャッチアップできていない自分に恥ずかしさを感じました。この経験から、リスキリングの重要性とFP知識のブラッシュアップの必要性を再認識し、「どうせ学ぶなら最高峰の1級を目指そう」と決意しました。
学習スケジュールと活用教材
8月の社労士試験後から学習を本格スタート、FPキャンプの教材を中心に徹底的に理解を深める
──次に学習方法などについてお伺いします。まず2025年9/10月試験までのおおまかな学習スケジュールを教えてください。
5月の1級学科試験終了後、8月下旬の社労士試験に向けて勉強していたため、実技試験の学習はまったく手をつけられていませんでした。社労士試験終了後から本格的に開始し、平日は1~2時間、休日は5時間程度を勉強時間に充てました。FPキャンプの動画を繰り返し視聴し、理解を深めることに徹底的にこだわりました。直前の10日間は過去問を使い、FPキャンプ流の「準備と解き方」を身体に染み込ませるように練習。一問一答にはあまり時間を割けず、今振り返るとそこはしっかり取り組んでおけば良かったと反省しています(ちなみに社労士は来年、再挑戦予定です)。
──学習に利用した主な教材を教えてください。
学習の約9割はFPキャンプの教材を使用しました。YouTube上の実技解説動画もいくつか参考にしましたが、限られた時間を考えると「FPキャンプを徹底することが最も効率的」だと感じました。
FPキャンプ以外では、「田畑真吾」さんの1級実技対策動画を通勤時に活用しました。会話形式で耳から学べるため、ポッドキャストのように使いやすかったです。
学習の工夫と面接試験対策
「一度で理解しようとしない」繰り返し学習で本質を掴む
──学習を進めるにあたり、自分なりに工夫した点はありますか。
意識したのは「1回で理解しようとしないこと」です。何度も繰り返して咀嚼していくうちに、本質が見えてくる瞬間があるので、それを焦らず待つようにしました。また、飽きっぽい性格なので、息抜きとしてネットサーフィンをしながら相続や不動産の専門サイトを覗くなど、知識を横断的に広げることも意識していました。視野を狭めないことも、自分なりの工夫でした。
──本番の面接形式の練習をどのようにされましたか。
特別な面接練習は行いませんでした。意識していたのは「相手との会話を楽しむこと」です。ただ、滑舌があまり良くないため、言いにくい単語は早口言葉のように発声練習をして、スムーズに話せるようにしました。
──対面やオンラインでの面接試験の練習は実施しましたか。
特に行っていません。
出題傾向が見えない不安をFPキャンプで克服
──学習を進めるにあたり、一番大変だったことは何ですか。また、その困難をどのように乗り越えましたか。
実技試験は出題範囲が広く、「何をどこまで対策すればいいのか分からない」ことが一番の不安でした。しかし、FPキャンプのカリキュラムに沿って進めるうちに、その不安は次第に解消。理解が深まるにつれて自信もつき、最後までやり抜くことができました。
子どもと一緒に勉強時間を楽しむ
──学習を進めるにあたり、犠牲にしたことはありますか。
「犠牲にした」という感覚はありません。むしろ、受験勉強中の子どもと一緒に勉強することで、「親子で学ぶ時間」として楽しめました。無理をせず、前向きに勉強を続けられたと思います。
多彩な角度からの質問に答えられるよう自分の言葉で説明する練習を重ねる
──受験前の学習はスケジュール通り進めることができましたか?試験前の学習の進捗状況について具体的に教えてください。
開始時期は遅れましたが、動画視聴と過去問演習(FPキャンプ教材)を重点的に取り組みました。テキストの想定問答は、要点を簡潔に答えられるよう練習し、さらに「自分の言葉で説明する」練習も重ねました。この練習のおかげで、どんな角度から質問されても自分の考えを伝えられるようになったと思います。
──受験前の自信のほどはいかがでしたか?
合格率が8~9割と高い試験なので、基本的には「大丈夫」と思っていました。ただ、直前になると「もし自分が残りの1割だったら…」という不安が押し寄せ、面接直前の15分で問題を読んでいる最中、頭が真っ白になった瞬間もありました(笑)。
FP1級実技試験の雰囲気や難易度、内容
──次に試験についてお伺いします。まず、設例に目を通した時点での感想を教えてください。
- Part I(相続・事業承継分野)
最初目を通したときは、学習した設例に類似していると感じましたが、よく読むとひねってあり、「一筋縄ではいかないな」と思いながら考えていたら、あっという間に時間が来て焦りました。 - Part II(不動産分野)
一見すると難しそうでしたが、じっくり読み込んだら何とかなりそうだと思いました。
──面接の雰囲気はいかがでしたか?
- Part I(相続・事業承継分野)
終始和やかな雰囲気でした。いろいろ失敗した自覚があったので、その都度助け舟をだしていただき拾ってもらいました。 - Part II(不動産分野)
終始和やかな雰囲気でした。
──質問の難易度はいかがでしたか。
- Part I(相続・事業承継分野)
普通から少々難しめでした。 - Part II(不動産分野)
これまでにない論点が多く、回答に窮することが多々ありました。
──面接ではどのような質問が出ましたか。覚えている範囲で教えてください。
Part I(相続・事業承継分野)
- 相談内容と課題を述べてください
- 課題解決に向け、何をアドバイスしますか?
- その特例を使って解決できますか?
- 今の回答では、いろいろ不満が残るのでは?
- 一番大事なこと言い忘れていませんか?
Part II(不動産分野)
- Aさんから直接聞いて確認する情報は?
- FPであるあなた自身が調べて確認する情報は?
- 土砂災害警戒区域とは?
- Aさんが乙-1土地を購入することについて、どのようなアドバイスをするか?
- 理由を教えてください
- 購入するためにBさんの問題をどのように解決すればよいか?
反省点と得点結果の振り返り
──面接の受け応えで気を付けたポイントや反省点について教えてください。
- Part I(相続・事業承継分野)
コミュニケーション重視であることを念頭に、リズム良く応答することを心掛けましたが、トップバッターでもあり、リズムに乗れず。また直前の追い込みで少々難度が高そうな論点ばかり勉強して、相続対策では基礎中の基礎である「遺言」をいうワードを失念してしまいました。また、最後の定番質問も、なぜか簡潔に答えることができず、大幅減点をくらいました。
- Part II(不動産分野)
定番の質問にて、問題文に記載ある事項は省略して答えたら、面接官に「なにか抜けていませんか?」と言われました。どんな問題、面接官のフリがあっても、全項目をまず言い切ることが大切だと感じました。
──回答が分からない質問に対してどのような受け応えをしましたか?
もう少しでわかりそうな質問に対しては、少し考えながら、一番正解に近そうなものを回答しました。ただ、全く見当もつかない質問については正直に「申し訳ございません。その点については、わかりません」と回答しました。
──実際の点数はいかがでしたか?
200点満点中130点で、内訳は以下の通りです。
A ) 顧客の問題点の把握(40点満点): 25点
B ) 問題解決策の検討分析(60点満点):39点
C ) 顧客の側に立った対応(60点満点):38点
D )FP倫理と法令順守(40点満点): 28点
面接官とテンポよく会話しながら一緒に回答を創り上げていく姿勢で信頼関係を築き合格を勝ち取る
──25年9/10月試験で合格できた要因を3つあげてください。
- コミュニケーション力
面接官との最初の挨拶では「笑顔」を意識し、信頼関係を築くことを心がけました。回答に迷うような質問が出た際も、面接官と会話を重ねながら答えを導き出すことができたのが良かったと思います。「その回答で解決できますか?」と半ばダメ出しを受けても、対話を続けながら一緒に答えを創り上げていく姿勢が評価につながったのではないかと思います。
- 会話のリズム
テンポよくキャッチボールをすることを意識しました。焦って早口にならないよう注意し、FPキャンプ流の「端的な回答」を心がけたことで、面接官にも良い印象を与えられたのではないかと思います。また、相手の目を見て話すよう意識していました。自信のない回答のときは自分でも目が泳いでいるのを感じましたが、その様子を見た面接官が質問の言い回しを変えてくださり、結果的に答えを導けた場面もありました。
- 基本知識の本質的な理解
基本事項に関する問いは確実に答えられるようにすることが何より大切ですが、すべてを一発で答えようとしなくてもよいと思います。面接官のフォローを受けながら、頭の中の知識を少しずつ出していくことで、会話の中で回答を組み立てる感覚がありました。回答の方向性を誤っても、コミュニケーションの中で修正できれば問題ありません。
面接では「基本を自分の言葉で語る力」が鍵
──今後実技試験を受けるFPキャンプ受講生に面接の受け応えに対するワンポイントアドバイスをお願いします。
どんなに難しく見える質問でも、基本を問われていることがほとんどです。幹となる知識をしっかりと身につけ、自分の中に染み込ませることで、自信を持って面接官に答えられるようになると思います。
FPキャンプについて
FPキャンプの無駄のないテキストと講義が理解を深める支えに
──次にFPキャンプについて伺います。FPキャンプで特に役立ったコンテンツとその理由について教えてください。
「ガイダンス講義」「インプット編:テーマ解説講義 Part I(相続・事業承継)」「インプット編:テーマ解説講義 Part II(不動産)」「アウトプット編:事前準備編」「アウトプット編:コミュニケーション編」です。どれも理解を深め、思考を体に染み込ませるうえで非常に有用でした。無駄のないテキストと解説で、学習の芯をしっかり掴むことができ、本当に助かりました。
プロの講座に投資する価値を実感
──コストパフォーマンスについてはいかがですか。
適正な料金だと思います。FP1級は、独学や低価格教材で済むような試験ではありません。プロに正当な対価を払って学ぶ価値があることを、合格して初めて実感しました。
──FPキャンプを5段階で評価すると何になりますか(「1」が最低、「5」が最高)。
5点です。インプット編のテキストは本当に秀逸で、繰り返し読むうちに知識が血肉化しました。そのおかげで本番中に頭が真っ白になりかけた時でも、自然と会話のように答えることができました。また、アウトプット編は内容が実際の試験そのままで、丸暗記しておくべき部分は本当にその通り出題されました。根本理解に集中するため、一問一答問題はあえて解かず、FPキャンプ一本で乗り切りました。
FP1級の活かし方
次の目標は社労士資格とマネーリテラシーの普及
──次に今後の展望についてお伺いします。FP1級の資格を今後の仕事や生活でどのように生かしていきたいですか。
将来的には社会保険労務士の資格取得を目指しています。特に「年金」分野を専門的に扱いながら、マネーリテラシー向上に貢献できる活動をしていきたいです。
資格取得がもたらした自信と周囲からの信頼
──FP1級試験の勉強を振り返って、数々の犠牲を払いながら学習を継続して良かったと感じているのはどのような点になりますか。
「FP1級」という資格は、自分が思っていた以上に社会的評価が高いと感じました。名刺に「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」と記載するだけで、信頼度が上がるのがちょっと誇らしいですね。
受験生へのメッセージ
──最後に、FPキャンプで学ぶ受講生へのメッセージをお願いします。
FPキャンプを信じて、やるべきことをやり抜いてください。きっと合格できます。応援しています。
