
24歳で独学により1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。2021年に「ほんださん / 東大式FPチャンネル」を開設し、28万人以上の登録者を獲得。
2023年に株式会社スクエアワークスを設立し、代表取締役としてサブスク型オンラインFP講座「FPキャンプ」を開始。FPキャンプはFP業界で高い評価を受け、2023年9月のFP1級試験では約15%の受験生が利用。金融教育の普及に注力し、社会保険労務士や宅地建物取引士など多数の資格も保有している。
不動産の取引って、なんだか難しそうですよね。
大きな金額が動くし、法律も絡んでくるので、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
特にFP試験では、不動産に関する法律問題がよく出題されるので、しっかり理解しておきたいところです。
そこで今回は、FP講師の私が、不動産取引に関する法律について、分かりやすく解説していきます。

不動産の法律って、条文が多くて覚えるのが大変です…試験でどんな問題が出るか不安です。



そうですね、確かに覚えることは多いですが、一つずつ丁寧に見ていけば大丈夫です!一緒に頑張りましょう!


不動産売買の基本ルール
まず、不動産売買の基本的なルールを見ていきましょう。
不動産の売買は諾成契約で成立します。
諾成契約とは、お互いの意思表示が合致すれば、契約が成立するということです。
つまり、口約束でも契約は成立するんですね。
「え、書面はいらないの?」と思われるかもしれませんが、口約束でも有効です。
しかし、不動産は高額な取引なので、後々のトラブルを避けるためにも、必ず書面を作成するようにしましょう。
書面は証拠として非常に重要です。
FP2級頻出ポイント:不動産売買契約の成立要件
FP2級試験では、不動産売買契約の成立要件に関する問題がよく出題されます。
諾成契約であることをしっかり理解しておきましょう。



口約束でも契約が成立してしまうと、後々トラブルになりそうで心配です…。



その通りです!だからこそ、書面に残すことが大切なんです。言った、言わないの水掛け論を防ぎ、スムーズな取引を行うためにも、必ず書面化しましょうね。
手付金の役割と解除


次に、手付金について説明します。
手付金とは、不動産を買う前に支払うお金のことです。
不動産の売買契約から実際の引き渡しまでには、ある程度の期間がありますよね。
その間、買主が購入の意思を示し、売主が売却の準備を進めるための担保として、手付金が支払われます。
手付金には、契約を解除できるという重要な役割があります。
買主は手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を支払うことで、契約を解除できます。
例えば、5,000万円のマンションで500万円の手付金を支払った場合、買主は500万円を放棄すれば、売主は1,000万円を支払えば、契約を解除できます。
ただし、この解除はいつでもできるわけではありません。
契約の履行に着手するまでの間に限られます。
履行の着手とは、売主が所有権移転登記の準備を始めたり、買主が残りの代金の支払いを開始したりすることです。
これらの行動が始まってしまうと、手付金を支払っていても解除できなくなりますので注意が必要です。
FP2級対策:手付金に関する出題例
FP2級では、手付金による契約解除の条件や、履行の着手の影響などについて問われることが多いです。
しっかりと理解しておきましょう。



手付金の解除の条件がよくわからなくなってしまいます…。何か良い覚え方はありますか?



そうですね。「着手前なら解除可能!買主は放棄、売主は倍返し!」と覚えてみてはどうでしょうか。重要なのは「着手前」という点です。忘れずに覚えておいてくださいね!
危険負担:売買契約中のリスク


危険負担とは、契約から引き渡しまでの間に、地震や火災などの予期せぬ出来事で物件に損害が生じた場合、どちらがそのリスクを負うのかということです。
基本的には、売主がリスクを負います。
つまり、物件が損害しても、買主は代金を支払う必要はなく、契約を解除することもできます。
ただし、買主の故意や過失による火災の場合は、買主が責任を負うことになります。
また、契約で別途定めることも可能です。
不動産の取引に関する法律:危険負担の具体例
事象 | 責任 |
---|---|
地震による火災 | 売主 |
買主による放火 | 買主 |



危険負担って、なんだか損得で考えがちですが、法律で決まっているんですね。



その通りです。法律で決まっているからこそ、事前に理解しておくことが大切なんです。危険負担は、不動産取引において重要なポイントなので、しっかりと覚えておきましょう!
契約不適合責任:不良品への対応


契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容と異なっていた場合、売主が負う責任のことです。
例えば、購入したテレビが壊れていた場合、販売店に修理や交換を求めることができますよね。
これと同様に、不動産でも、物件に欠陥があった場合、売主に責任を問うことができます。
買主は、追完請求(修理・交換)、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除といった権利を行使できます。
例えば、欠陥を修理してもらう、欠陥部分に見合った金額を値引いてもらう、欠陥によって生じた損害を賠償してもらう、契約自体をなかったことにする、といった対応が可能になります。
テレビの例で学ぶ契約不適合責任
テレビを購入した際に、画面が映らないという不具合があった場合を想像してみてください。
この場合、販売店に修理や交換を依頼したり、価格の減額を交渉したり、場合によっては契約を解除することもできます。
これが契約不適合責任です。
不動産取引においても、同様に欠陥があった場合に売主に責任を問うことができるのです。



契約不適合責任は、テレビの例で考えると分かりやすいですね!



身近な例で考えると理解しやすいですよね。不動産の取引に関する法律も、難しく考えずに、一つずつ理解していきましょう!
契約不適合責任の期間制限
契約不適合責任には期間制限があります。
一般的な不適合は、発見から1年以内に売主に通知する必要があります。
新築住宅の場合は、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が売主に課せられます。
つまり、10年間は、構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分に関して、隠れた瑕疵(欠陥)がないことが保証されているのです。
FP2級:契約不適合責任の期間制限の注意点
FP2級試験では、この期間制限に関する問題が出題される可能性があります。
1年以内、10年間という数字をしっかり覚えておきましょう。



期間制限があるのは知りませんでした!これは試験で狙われそうですね…。



その通り!期間制限は重要なポイントです。「一般は1年、新築は10年」と覚えておきましょう!
共有:複数人での所有


共有とは、一つの不動産を複数人で所有することです。
例えば、夫婦で家を購入したり、兄弟で家を相続したりする場合が該当します。
それぞれの所有割合を持ち分といいます。
共有者には、単独でできることとできないことがあります。
単独でできることは、保存行為(物件の維持・管理)と自分の持ち分の譲渡です。
一方、単独ではできないことは、管理行為(賃貸など)と変更・処分行為(建替えなど)です。
管理行為は過半数の同意、変更・処分行為は全員の同意が必要です。
夫婦共有の具体例
夫婦で家を共有している場合、夫は自分の持ち分を妻に相談せずに第三者に売却することができます。
しかし、家を賃貸に出したり、建て替えたりするには、妻の同意が必要になります。
共有における単独での行為と、そうでない行為の違いを理解しておきましょう。



共有の単独でできる行為とできない行為、混同しそうで怖いです…



そうですね、少しややこしいですが、整理して覚えていきましょう。保存行為と持分の譲渡は単独でOK!管理行為は過半数、変更・処分行為は全員の同意が必要!と覚えてみてくださいね。
面積の取引方法:公簿取引と実測取引
不動産の面積は、公簿取引と実測取引の2つの方法で取引されます。
公簿取引は、登記簿に記載されている面積に基づいて取引する方法です。
実測取引は、実際に測量した面積に基づいて取引する方法です。
実測取引の場合、実測面積と登記簿面積に差があった場合は、代金の増減清算が発生します。
FP2級:公簿取引と実測取引の違い
FP2級試験では、公簿取引と実測取引の違いについて問われることがあります。
それぞれのメリット・デメリットを理解しておきましょう。



公簿取引と実測取引、名前は似ているのに全然違うんですね!



その通り!登記簿を使うか、実測するか、で大きく違います。「公簿は登記簿、実測は測量」と覚えておきましょう!
まとめ:不動産取引の重要ポイント
今回は、不動産取引に関する法律について解説しました。
諾成契約、手付金、危険負担、契約不適合責任、共有、公簿取引と実測取引など、重要なポイントを学びました。
これらの知識は、FP試験だけでなく、実際の不動産取引でも役立つものです。
しっかりと理解しておきましょう。



今日はありがとうございました!難しいと思っていた不動産の法律も、先生の解説でよく理解できました!



理解してもらえて嬉しいです!これからも一緒にFP試験合格を目指して頑張りましょう!応援しています!

