24歳で独学により1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。2021年に「ほんださん / 東大式FPチャンネル」を開設し、32万人以上の登録者を獲得。
2023年に株式会社スクエアワークスを設立し、代表取締役としてサブスク型オンラインFP講座「FPキャンプ」を開始。FPキャンプはFP業界で高い評価を受け、2025年9月のFP1級試験では48％を超える受験生が利用。金融教育の普及に注力し、社会保険労務士や宅地建物取引士など多数の資格試験に合格している。
金融資産運用の分野で、多くの受験者がつまずきやすいのが「外貨金融商品のレート」ではないでしょうか。
「TTM、TTS、TTB…アルファベット3文字が並んでいて違いが分からない」
「計算問題でどのレートを使えばいいのか、いつも迷ってしまう」
そんな悩みを抱えていませんか？
外貨金融商品のレートは、仕組みさえ理解してしまえば決して難しいものではありません。
計算問題では頻出のため、一度覚えればFP2級合格をぐっと引き寄せる得点源になります。
この記事では、外貨金融商品の3つのレートについて、分かりやすく解説します。
具体例や、試験で役立つ暗記法も紹介するので、ぜひ外貨金融商品のレートをマスターしてください。
外貨預金の計算問題、苦手意識があります…。特にレートの使い分けがごちゃごちゃになってしまって。この記事でスッキリ解決できると嬉しいです！
ほんださんお任せください！この記事を読み終える頃には、自信を持って計算問題に取り組めるようになっていますよ。一緒に一歩ずつ理解を深めて、FP2級合格を目指しましょう！
本記事で解説した内容は、ほんださん監修のFPキャンプ内コンテンツ「完全講義premium」を基に作成されています。
より深く、体系的に学びたい方は、以下のFPキャンプの講座をチェックしてみてください。
ニュースで聞く為替レートの正体は基準となるTTM
「本日の為替レートは1ドル150円です」
といったニュースを耳にしたことがある方は多いと思います。
しかし、実は私たちが外貨預金などの取引でこの「1ドル150円」というレートをそのまま使うことはありません。
このニュースで報じられているレートは、TTM（対顧客電信仲値）と呼ばれるもので、金融機関が為替取引を行う上での基準となるレートになります。
金融機関はこのTTMを基準にして、自分たちの手数料（利益）を上乗せしたり、差し引いたりして、顧客に提示する実際の取引レートを決定します。
そのため、私たちが実際に円を外貨に替えたり、外貨を円に戻したりする際には使われない、という点を押さえておきましょう。
なるほど！ニュースで聞くレートは、あくまで「基準」なんですね。実際に私たちが取引で使うレートは何になるんですか？
ほんださん良い質問ですね！次に、私たちが実際に使うことになる2つのレートについて詳しく見ていきましょう。
外貨預金で実際に使うのはTTSとTTBの2種類
私たちが外貨預金などを行う際に実際に使用する為替レートは、「TTS」と「TTB」の2種類です。
TTMを基準にして、金融機関の手数料が反映されたものがこの2つのレートになります。
どちらのレートを使うかは、「円を外貨にするのか」、それとも「外貨を円にするのか」によって決まります。
| レートの種類 | 顧客（私たち）の取引内容 | 金融機関の取引内容 | レートの計算式（目安） |
|---|---|---|---|
| TTS | 円を外貨に替える（外貨を買う） | 外貨を顧客に売る | TTM ＋ 手数料 |
| TTB | 外貨を円に戻す（外貨を売る） | 外貨を顧客から買う | TTM － 手数料 |
TTS（対顧客電信売相場）：円を外貨に替える時に使うレート
まず一つ目は、TTS（対顧客電信売相場）です。
これは、私たちが円を外貨に替える際に適用されるレートです。
例えば、「海外旅行先で、円をドルに両替したい」とか「米ドルの外貨預金を始めたい」といったケースで使います。
この取引は、金融機関の視点で見ると「顧客に外貨を売っている」ので、Sellingの「S」がついています。
TTSは、基準となるTTMに金融機関の手数料が上乗せされているため、TTMよりも円安（数字が大きく）になります。
TTB（対顧客電信買相場）：外貨を円に戻す時に使うレート
もう一つが、TTB（対顧客電信買相場）です。
これはTTSとは逆に、私たちが外貨を円に戻す際に適用されるレートです。
例えば、「満期になった外貨預金を日本円で受け取りたい」とか「海外旅行で余ったドルを円に両替したい」といったケースで使われます。
この取引は、金融機関の視点で見ると「顧客から外貨を買っている」ので、Buyingの「B」がついています。
TTBは、基準となるTTMから金融機関の手数料が差し引かれているため、TTMよりも円高（数字が小さく）になります。
金融機関の視点で見ると「売る(Sell)」か「買う(Buy)」かでTTSとTTBが決まるんですね！自分たちの取引内容とセットで覚えるようにします。
ほんださんその通りです！「円→外貨はTTS」「外貨→円はTTB」と、取引の方向性で覚えるのが一番シンプルで間違いが少ないですよ。次の具体例で、この仕組みをさらに深く理解しましょう。
【具体例】100ドルを即時売買すると200円損する手数料の仕組み
TTSとTTBのレートに差があると手数料がどう変わるのか、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみましょう。
【前提条件】
- 基準レート（TTM）：1ドル = 150円
- 金融機関の為替手数料：1ドルあたり1円
この場合、顧客が使うレートは以下のようになります。
- TTS（円→ドル）：150円 ＋ 1円 = 151円
- TTB（ドル→円）：150円 － 1円 = 149円
あなたが日本円を持っていて、100ドル分の外貨預金を始めすぐに解約して円に戻したとした場合、以下のようなお金の動きになります。
ステップ1：円をドルに替える
この取引は「円を外貨に替える」ので、TTS（1ドル151円）が適用されます。
必要な日本円は、151円 × 100ドル = 15,100円です。
あなたは15,100円で100ドルを手に入れました。
ステップ2：ドルを円に戻す
この取引は「外貨を円に戻す」ので、TTB（1ドル149円）が適用されます。
受け取る日本円は、149円 × 100ドル = 14,900円です。
最初に15,100円を支払ったのに、戻ってきたのは14,900円です。
為替レート（TTM）は150円から一切変動していないにもかかわらず、200円の差額が発生しました。
この200円が、金融機関が手数料として得た利益になるわけです。
なるほど！買ってすぐに売るだけで200円も差が出るんですね。これが金融機関の手数料になるわけですね。
ほんださんその通りです。為替の変動による利益や損失を計算する前に、まずこの手数料がかかることを念頭に置いて問題を解く癖をつけましょう。
FP試験頻出！ 外貨預金の計算問題で使うレートの見分け方
FP2級の試験では、この外貨金融商品のレートを使った計算問題が出題されることがあります。
特に、実技試験ではよく出題される傾向にあります。
例えば、「〇〇円をドルに替えて年利〇%で1年間運用し、満期時に円に戻した場合の円ベースの利回りを求めなさい」といった形式の問題です。
この手の問題を解く上で最も重要なのが、まさに「預け入れ時（円→外貨）にTTSを使い、引き出し時（外貨→円）にTTBを使う」というルールの適用です。
問題文には必ずTTM、TTS、TTBの3つのレートが提示されますが、計算でTTMを使うことはありません。
受験者を惑わせるためのダミー情報だと考えてよいでしょう。
正しいレートを選択できるかどうかが、正解へのカギを握ります。
問題文に3つもレートが書いてあったら、焦って間違えちゃいそうです。何か良い覚え方はありませんか？
ほんださんご安心ください！そんな方のために、絶対に間違えない、とっておきの暗記法があります。
【暗記法】「Simple is the Best」でTTSとTTBを覚える
TTSとTTB、どっちがどっちか分からなくなりがちなこの2つのレートを、一発で覚えられる魔法の言葉をご紹介します。
「日本人が外貨預金をするなら、Simple is the Best！」
投資の世界では、シンプルな考え方が良い結果につながることがあります。
この言葉のリズムで覚えてしまいましょう。
この「S(TTS)imple is the B(TTB)est」というフレーズが、外貨預金の取引の流れそのものを表しています。
日本からの目線で見ると、外貨預金の取引は、必ず「S」から「B」の方向、すなわち「TTS → TTB」という順番で行われます。
この覚え方なら、SとBを逆にすることもありませんし、計算問題で基準レートであるTTMは登場しないことも自然と理解できるはずです。
試験本番でレートの選択に迷ったら、この「Simple is the Best」を思い出してくださいね。
「Simple is the Best」！これは覚えやすいです！Sでスタート（TTS）、Bでゴール（TTB）ですね。これなら試験で焦っても思い出せそうです！
ほんださん気に入っていただけて嬉しいです！語呂合わせやフレーズで覚えるのは、記憶を定着させるのにとても有効な方法です。
まとめ
今回は、FP2級合格に欠かせない外貨金融商品のレートについて、3つのレートの違いから計算問題での使い方、そしてユニークな暗記法まで詳しく解説しました。
外貨金融商品のレートは、一度理解してしまえば安定した得点源となる分野です。
この記事で学んだ知識を武器に、自信を持って試験に臨んでください。
あなたのFP2級合格を心から応援しています！
ありがとうございました！TTM、TTS、TTBの違いが明確に理解できました。「Simple is the Best」のおかげで、もう計算問題で迷うことはなさそうです。これで自信を持って外貨金融商品の分野に取り組めます！
ほんださん素晴らしいですね！その自信が合格への大きな一歩です。FP試験は覚えることが多いですが、一つひとつ着実に理解を深めていけば、必ず結果はついてきます。これからも頑張ってください！
