2025年10月5日 PartⅡ FP1級 実技試験過去問解説&本試験質問・解答例

目次

本記事の構成

本記事は以下の内容で構成されています。

・実際の設例
・本試験の概要と傾向
・得点のカギとなる論点
・各質問事項と検討のポイント
・実際の面接試験の想定応答集

実際の設例

それではまず、今回の設例を読んでいきましょう。

●設例●
 Aさん(66歳)は、昨年T市の小学校を退職し、同市内の自宅で妻Bさん(63歳)と暮らしている。1人息子の長男Cさん(34歳)は、T市内で公務員として働いており、同市内の賃貸マンションで1人暮らしをしている。
 退職前のAさんの年収は約550万円であったが、現在は共済組合からの年金収入(年額250万円)と預貯金を取り崩して生活している。Aさんの現在の預貯金残高は1,800万円程度であり、今後の生活を考えると、夫婦の年金収入だけでは心許ないと感じている。退職金については、大部分を自宅に係る住宅ローンの返済やリフォーム費用等に使ったため、手元にはほとんど残っていない。
 Aさんは父親から引き継いだT市内の甲土地(400㎡、JR線のターミナル・T駅から1駅であるS駅から徒歩5分)をアスファルト敷きの月極駐車場として利用しており、年間160万円程度の収入を得ているが、固定資産税・都市計画税を毎年100万円程度支払っており、その収益性は高くない。なお、甲土地は先祖代々の土地であり、売却することは考えていない。
 Aさんは、今後も退職前と同程度の収入を維持し、加えて将来長男Cさんに迷惑がかからないように、医療費や介護費用への備えとして一定程度蓄えができるよう、甲土地の収益性を高めたいと考えている。

 Aさんが、甲土地の有効活用についてメインバンクから紹介された銀行系列の不動産会社であるY社に相談をしたところ、賃貸アパートの建設(右貢の<資料①>参照)の提案を受けた。当地域では、40㎡~45㎡の賃貸住宅が慢性的に不足しているため、賃貸アパートの需要が高いとのことである。
 また、地元の不動産会社にも同様の相談をしたところ、担当者を通じて、全国に展開している大手リユースショップのZ社から、事業用定期借地権(右貢の<資料②>参照)の提案を受けた。
 Aさんは、Y社とZ社の提案について、どちらがより望ましいのか、またそれをどのように判断すれば良いのかわからず悩んでいる。
 このような状況のもと、FPであるあなたに相談があった。

(注)設例に関し、詳細な計算を行う必要はない。

出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定1級実技試験(資産相談業務)2025年

本試験の概要と傾向


本設例の概要

Aさん(66歳)は退職後、年金収入と預貯金を取り崩して生活しているが、将来的な生活資金や医療・介護費用に不安を感じている。現在、父から相続したT市内の甲土地(月極駐車場)からの収入はあるものの、税負担が重く、収益性は高くない。

今後も安定した収入を確保し、息子Cさんに経済的な負担をかけないようにするため、甲土地の有効活用を検討しており、不動産会社2社からの提案(アパート建設と事業用定期借地権)を比較検討しているが、どちらが自身の意向に合っているか判断に迷っている。

難易度・受験生目線の対策方法

老後資金確保と不動産の有効活用をテーマとした設例です。

提案内容は「賃貸アパート建設」と「事業用定期借地権契約」という典型的な比較論点であり、それぞれのメリット・デメリット(初期投資・収益性・リスク・相続時の評価など)を整理し、Aさんの生活状況や希望(収益の安定性・相続財産の維持)に沿って総合的に判断する力が問われます。

特に、建築案には自己資金や融資負担、空室リスク・維持管理費用などが伴う一方で、定期借地契約は一括借上げによる安定収入や維持コストの軽減、土地の現物維持といった観点が評価される場合があります。

近年頻出の不動産活用分野における実践的内容であり、ライフプラン・リスク・税務・相続の各分野にまたがる複合的な対応力が求められる設例です。

本設例の関連テーマ

・不動産の有効活用

ここで、しっかりと基礎知識を付けておくことが重要でしょう。

講義内では、これらの論点についてしっかり解説しておりますので、ここの知識を定着させていたかどうかが、本試験での回答力となったと言えるでしょう。

FPキャンプ内でも、これらの論点に関してはしっかりと解説しております。
・不動産の有効活用③ 事業用定期借地権方式
・不動産の有効活用⑤ 実践編 複合問題1
・不動産の有効活用⑥ 実践編 複合問題2

「FPキャンプ1級実技試験コース」を受講されている方は、上記の観点テーマからしっかり学んでおきましょう。

得点のカギとなる論点

PartⅠと異なり、PartⅡでは質問事項が記載されているため、これらについて設例読みの段階で、想定される質問を整理しておきましょう。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情
  報が必要ですか。以下の①および②に整理して説明してください。
  ①Aさんから直接聞いて確認する情報
  ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.不動産の有効活用の方法を決定するために、一般的にどのような事項を検討すべきでしょうか。
3.Y社とZ社の提案について、あなたであればAさんにどちらの案を勧めますか。
  その理由とともに教えてください。
4. 本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

なお、PartⅡの最初および最後の質問は、いずれの《設例》においても共通して出題される固定質問です。これらのいわゆる「王道質問」への備え方や考え方については、以下の記事をご参照ください。
PartⅡ対策 固定質問3つへの考え方

各質問事項と検討のポイント

それでは各質問事項に対する提案のポイントと、知っておくべき知識について解説していきます。

なお実際の試験で問われた細かな論点や質問事項などは、この後の「面接試験の想定応答集」で紹介しておりますので、本章では省略します。

質問2 不動産の有効活用の方法を決定するために、検討する点

提案のポイント

・Y社とZ社の提案内容のリスクとリターンをそれぞれ個別に分析する。

解説

Part2では、2つの提案内容が提示され、どちらが顧客にとって望ましいかを判断する設例が出題されることがあります。こうした設例が出題されたときには、それぞれの提案内容のリスクとリターンをまとめて比較できるようにすることから始めましょう。

・Y社の提案のリターン
Y社の提案でサブリース会社を希望しない場合の1年間のキャッシュフローは約670万円(=130万円×12カ月-310万円-580万円)です。
サブリースを希望する場合の1年間のキャッシュフローは約436万円(=130万円×12カ月×85%-310万円-580万円)です。

サトシ講師

サトシ講師のワンポイント
Y社からの提案のリターンは他にも、借入れ返済後に建物が資産として残ることが考えられます。不動産の投資判断では、毎年のキャッシュフローだけでなく、将来的な出口戦略まで念頭に置く必要があります。今回のケースでは、Aさんの収入維持が目的になっていたため、詳しく計算する必要はありませんが、実務上無視できない重要なポイントとなります。

・Y社の提案のリスク
融資条件として長男Cさんを連帯保証人にする必要がある点があげられます。また、サブリース契約を希望しない場合は、マンションの空室リスクが提案書では考慮されていません。サブリース契約を希望した場合の特有のリスクでは、将来的な賃料減額リスクやサブリース会社の倒産リスクがあげられます。

サトシ講師

サトシ講師のワンポイント
サブリース契約は、借地借家法の規定が適用されるため、オーナーよりもサブリース会社の立場が強くなります。そのため、オーナー側からの契約解除は難しく、逆にサブリース会社から「賃料減額請求に応じなければ、解約する」と言われてしまうケースもあります。そのため、サブリース契約前には解除条項について入念に確認する必要があります。

・Z社の提案のリターン
年間収入額は約500万円となる見込みとあります。

・Z社の提案のリスク
事業用定期借地権方式の特徴として、オーナーから中途解約ができない点や借主が経営破綻するリスクがあります。

質問3 Aさんにどちらの案を勧めますか

提案のポイント

・Y社とZ社の提案のリスクとリターンから、Aさんの要望にマッチしているものを選ぶ

解説

Aさんの要望としては、退職前と同程度の収入(約550万円)を維持し、加えて将来長男Cさんに迷惑がかからないように、医療費や介護費用への備えとして一定程度蓄えができるよう、甲土地の収益性を高めるとあります。

Aさんの現在の収入は共済組合の年金250万円のため、退職前と同程度の収入を得るには、甲土地は年額300万円の収益性が必要となります。Y社とZ社の提案ではどちらも、この要件を満たしております。

一方で、Aさんは将来長男Cさんに迷惑がかからないようにしたいとも言っています。Y社の提案では、長男Cさんが連帯保証人にならなければならないため、長男Cさんにもリスクが伴うものとなっています。Z社の提案もリスクがありますが、長男Cさんにまでリスクが及ぶことはありません。

そのため、Aさんには、Z社の提案を勧めるべきだと考えることができます。

実際の面接試験の想定応答集

それでは、上記の質問事項と知識の整理を踏まえたうえで、実際に試験会場で面接官から行われた質問を再現した、想定応答集をご覧ください。

想定応答集の注意点

  • 本想定応答集は、金財実施のFP1級実技試験を実際に受験した「FPキャンプ1級実技コース」受講生のアンケ―トに基づき、FPキャンプ講師陣が実際の面接試験のやりとりを再現したものです。
  • 「FPキャンプ1級実技コース」は、1級実技試験受験生の23.8%が利用し、利用者数は各試験ごとに180名以上となっています。本想定応答集では、大量のアンケートデータを集計し、試験機関が想定されていると思われる王道の質問の流れをご紹介しています。
  • 記事の都合上、本想定応答集は、実際に行われた質問を一言一句再現したものではありません。面接官や本番試験の解答の流れによって、異なる質問が行われているケースもございます。
  • 本想定応答集の回答は、FPキャンプ講師陣が考える模範解答を掲載しております。試験機関側が模範解答としたものではありません。また、この通りに回答しなければならない得点が得られないというものでもありません。

質問1 Aさんから直接聞いて確認する情報とFPであるあなたが調べて確
    認する情報

(受検生)と申します。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
設例をじっくり読んだと思いますが、Aさんから直接聞いて確認する情報として考えられる項目は何がありますか?

以降の内容につきましては、FPキャンプ1級きんざい実技コースをご利用の方のみご覧いただけます。

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